〇05レポート~無暖房住宅ゴーテバーク~

 

冬場の暖房エネルギーをいかに抑えるかという事を、  国レベルで考え研究してきた無暖房住宅について レポートいたします!

 

スウェーデン第2の都市“ゴーテバーク市”、人によっては“イエデポリ市”からクルマで約1時間チョットで今回のテーマである無暖房住宅街があります。“街”と言っても20世帯の連棟メゾネットです。省エネ住宅の鉄則は連棟でしたよね!やはりここも当然でした。

 

そもそも何故このような住宅が建設されたか?
いわずもがななんですが、エネルギーを極力必要としない住宅が必要不可欠になり、特にここスウェーデンは、冬場の暖房エネルギーをいかに抑えるかが絶大なる懸案テーマだったのです。そこで、1990年政府を挙げて、それにはどうすればいいか?という事に果敢に研究開発に取り組み出てきた一つがこの無暖房化住宅ってことなんです。読んで字のごとく、暖房を必要としない住宅。南国のあたたかい国ならまだしも北極の真下の国で生活するわけですからちょっとやそっとの仕様では当然ペケです。

 

では、どんな仕様なのかと申しますと・・・・・仕様を表にいたしました。下記をご覧ください。

 

*屋根;480mm壁内にロックウール+木チップ入りロックウール+ポリスチレンボード

                                             【U値:0.08W/㎡K】

*壁;430mm壁内に屋根同種類断熱材【U値:0.1W/㎡K】

*窓;3(2+1)層ガラス木製サッシ    【U値:0.85W/㎡K】

*基礎;ポリスチレン基礎断熱+土間スラブ250mm(下部にポリスチレン敷き)
                          【U値:0.09W/㎡K】

*換気;熱交換型ダクト式

*特徴的設備;温水ソーラーパネル+500L貯湯式電気温水器

 

と、レアルマドリードかヤンキースといった強烈な仕様ですよね

 

暖房エネルギーを必要としない住宅とは、とにかく熱損失を極限までに抑えることでこれでもか!という仕様にしておけば確かに間違いは無いですよね。
このスーパースター軍団のお陰で冬場の暖房は人体の発熱と照明の発光熱、電気温水器の排熱のみでその他暖房は一切不要!が実現するんです。で、年間の電気使用量はといいますと・・。合計5400KWhが平均値。

 

【内訳】

住宅維持電気・・・・・・・・・・・2,900kwh

温水用・・・・・・・・・・・・・・・・1,500kwh(残り1500kwhはソーラーが賄う)

熱交換・ポンプその他用・・・1,000kwh

 

購入価格は175,200クローネ。日本円で約2,600万ってとこでしょうか。また、賃貸料は5,937クローネ/月なので約89,000円。この賃料なら買った方が良いような気がしますね。

 

その他としては軒・庇を長く出したり、南面開口部を大きく取り、北面開口部を少なくすると言った日本でも常識的な設計になっていてこの辺は特筆すべきとこでもないかなと思いました。
特筆と言えば、先程も言いましたが仕様的には“大軍に兵法無し”的仕様で、スウェーデンならでは!と言った特別な発見はなかったのかな~と思います。日本でもこれぐらいの仕様の住宅は造れることは造れますし。このような無暖房住宅街がアチコチに存在するのかと言えばそうではなく、ここゴーテバークと別地方に1ブロックだけだそうです。ガイドの設計の方も「なかなか現場では大変で、そうそう普及する住宅ではない・・・」と言っておられました^_^;
ただ、今後のエネルギー問題の重要な解決策のヒトツである事は万国共通で言えるのだと思います。

 

最後に、ここを設計したハンス・エーク氏は「スウェーデンでは国全体エネルギー消費量の40%が住宅を含む建物が占めている。この消費量を半分以下にすればスウェーデンから原子力発電を全廃できるし、石油輸入もゼロにする事ができる」と言っておられます。国レベルで真剣に議論されなければならない問題ですし、会社・個人もそういう意識を高めて、ここまでの“大軍”仕様は出来ないまでも出来る限りの努力を作り手、住まい手、双方で考えていかなければならない時代に突入しているのだと思います。

 

 

 

 

 

風除室にも重厚な玄関ドアがあり、さらに奥に同じので色違いが搭載!!

 

その隣は通常のスウェーデンの家。外観は見事に統一されてます

 

11区画連棟ファサード

 

実際パース

 

平面図

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