01レポート~木製三層サッシの出来るまで~FEB.2002

パイン枠を接合したものを手渡しで運ぶ。
パイン枠を接合したものを手渡しで運ぶ。

今回は、「木製トリプルサッシの製造方法」をリポートいたします。

まず、スウェーデンのサッシメーカーは、大小あわせて20~30社あるといわれております。

日本と決定的に違うことは、その規模とメーカー数です。日本は20数社もなく5,6社で、しかも、筆頭メーカーを代表するように、工場は大規模で設備も最新式のOA化が嫌というほど発達しています。

一方スウェーデンでは、メーカー数は多いが、規模はみな小さく「☆★サッシセンター」的な工場ばかりで設備はご覧のとおり本当にローテクです。

 

枠と障子枠をつべりだ市かなもので接合。
枠と障子枠をつべりだ市かなもので接合。

11台、人間の手でしっかり作っていきます。

 

今、日本は不況の嵐でとうとう借りてきた手法「ワークシェアリング」まで叫ばれるほど就職難です。原因は、多かれ少なかれこういった規模、設備の違いも原因の一つかと思います。

スウェーデンでは、社民党を大援護している労働組合が強く、労働者保護の絶大なる土壌があり、経営者も大きな設備投資をする場合、必ず、雇用の保証を迫られます。機械に設備投資するなら、人に投資しろといった具合に。

故に、ご覧の通りのローテクマシンを人が手作業で作る。確かに、生産能力は最新機械に当然勝てないだろうが、そこまでの設備は全く必要ないのです。

サンサン設備投資した揚句に、雇用促進の為にわざわざ一人分の仕事を二人で行うのは、それこそ国際競争力を失うことにもなるのではないかなーと思います。

ガラスを枠にはめ込む。
ガラスを枠にはめ込む。

サッシ製造の工程は、パイン枠を機械で接合したものをおじさんが運び、女性が受け取り

今度は、専用の台に乗せ、そこで枠と障子を滑り出し金物で接合する。この金物は、ドイツ製が多く

ここも同様でした。そして、おじさんがトリプルガラスを障子にはめ込み、最後に二人で押縁をとめて完了!

ご覧の通りのシンプル工程で作製されていますが、一人一人が丁寧且つ慎重に「愛情込めて?」作製

されてますので、万一の故障もそんなに苦労せず解決出来ます。

ガラスを木の押し縁で固定。
ガラスを木の押し縁で固定。

よく輸入物のサッシは心配だと言う方もいらっしゃいますが質実剛健なつくりですのでご心配ご無用。

日本との比較で恐縮ですが、何故、木製サッシが100%近く使われるかと言うと当然、その性能、デザイン、癒し等様々ありますが、もっとも簡単な理由はレッドパインが豊富に取れるからなのです。しかもWWF(World Wide Fund for Nature:世界自然保護基金)管理下のFSC認定材がほとんどで、きっちりとした計画伐採のもとに使われている材なので、その点もクリア。

環境問題についても、アルミを作るのに一体どれだけの電気を必要とするか!?しかも、リサイクル可能だといっても二次的加工を必ず必要とします。

今、しきりにリサイクルが叫ばれていますが、当然、大切な事ですが、その前にリデュースつまり、そういう環境負荷の高い物を作らなければ良い。原因がなければ結果もないのですから。

さらにさらに、先のオランダではナント!アルミ缶撤廃が原則なんだそうです。ということを考えても

わざわざ、大エネルギーをジャブジャブ使い、そして、リサイクル費用もかかるアルミサッシを作る理由はあるのでしょうか?

あろうことに樹脂に木紛をまぜた木製風アルミサッシまで出ている日本住宅事情は

スウェーデン人が見たらどう思うのでしょうか?ここまで物真似ができたら

ある意味すごいと思うかもしれませんね

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